No.3030の記事

わが青春のカーペンターズ

アップロードファイル 8KBNHKの『プレミアム10』でのカーペンターズ特集。一曲一曲が沁みて、一言、よかった。カーペンターズの曲を聴く時に、私は高校時代の夏を思い出すと同時に、10年以上前、子供たちが幼い頃に夏の北海道をドライブした場面を思い出す。当時、北海道を走る時にはつねにカーペンターズだった。

珍しい映像もあったが、カレンの素人っぽさが印象的だった。悪く言えばダサイ。ステージ上の衣装も振る舞いも、振り付けも何かぎごちない。人気が出るほどに大衆にサービスしなくてはならなず、それが彼女の本性とミスマッチを起していたような感じだ。彼女はドラムの後ろで歌うのが本当の自分だったのだ。彼女は普通の結婚をして母になることを夢見ていたようだが、それも破れた。

そしてついに拒食症。摂食障害を持つ女性はしばしば低い自己像を持っており、大人になることを無意識に拒否している。性的にも成熟することが怖いのだ。彼女は兄リチャードの後ろについていくことが本来の自分だったのだろう。しかしステージでは表に立つことを余儀なくされた。しかもその兄もクスリに溺れた。大衆を喜ばせ、それに仕えることの代価はあまりにも大きい。

リチャードが最後に言っていた、「カーペンターズは自分の人生でもあり、悲しみでもある。今、素晴らしい曲が思い浮かんでも、それを歌う声がない」と。

(写真は高校時代に擦り切れるほど聴いたアルバム"NOW and THEN"のジャケット)