No.2953の記事

Dr.Lukeの一言映画評

アップロードファイル 22KBブラック・ブック』。ユダヤ人の迫害をテーマにした映画として、『シンドラーのリスト』、『戦場のピアニスト』と続く作品。美しいユダヤ人女性歌手が同胞を救うためにスパイとしてナチスの幹部に取り入るが、本当に愛し合ってしまい、そこから数々の悲劇が展開する。

私たちは悪のナチスに抵抗したいわゆるレジスタンスは正義、といった白黒のフレームで認識する傾向があるが、実はそのレジスタンスにも黒い部分があったと言うわけ。下でルター思想がナチスを生み出したとする説を紹介したが、非カトリックの私たちも、当時のカトリックは悪、ルターこそ正義と言った認識のフレームを植え付けられているのだ。真実に触れるには、一度すべての認識のフレームを壊す必要があるだろう。同じように、主イエスご自身を知るためには「神学」や「キリスト教」のフレームも。

オランダ・ドイツ・イギリス・ベルギーの共同制作だそうで、言語もドイツ語、英語、オランダ語と目まぐるしく変わる。最後に問われるのは、誰が味方で、誰が敵あるいは裏切り者であるのか。ラストにどんでん返しが待っている。米倉涼子主演、松本清張原作の『黒革の手帳』を連想してしまった。ちなみに最近では秘密の手帳を落として人生が終わるのではなく、メモリースティックを落としたりとか、Winnyによるファイル流出で終わるらしいが・・・。

大人の鑑賞に堪えるオトナの作品。お薦めです。