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Dr.Lukeの一言映画評-ナルニア国物語-

ご存知C.S.ルイスのファンタジー。子供たち4人がナルニア国に入り込んでの冒険物語。でも、これが聖書の話の焼き直しであるわけ。その国は魔女によって支配されており、魔法がその国の住人を縛っている。そこにアスランというライオンが現れ、魔女の誘惑によって裏切り者となった少年の身代わりとして、自ら石の舞台に縛られて、悪の家来どもになじられ、いたぶられつつ魔女に殺される。

しかしその死を目撃して悲しむ二人の少女の前でアスランは復活する。すると石の舞台は砕け、魔女によって氷付けにされた者たちも、アスランの吹きかける息によって生き返る。アスランは言う、「善なる者が裏切り者のアダムの子に代わって死ねば魔法の力は失せ去る」と。かくして最後の戦いの場面でアスランは魔女を滅ぼし、赤い液体(アスランの血?)を飲ますと魔女に刺された少年も癒され、アスランと共に凱旋し、彼は4人の子供たちを東西南北の王・女王として立てて、自らは旅に出ると。最後に「目を覚ましていなさい」とのメッセージ。

お分かりになりますよね。

 アスラン=キリスト、
 子供たち=アダムの子孫、
 魔女=サタン、
 魔女の手下=諸霊たち、
 魔法=この世の霊力
 石の舞台=律法

映画としてはあまり大したこと無い。『ベン・ハー』の方がはるかに福音的で、深みがあります。終わりの場面は『スターウォーズ』(1作目)を思い出してしまった。『スターウォーズ』もオビワン・ケノービがダース・ベイダーによって打たれ、フォースの世界に生きる者となり、ルークに対して「自分の目に頼るな、フォースに頼れ」と言うわけで・・・。最後は凱旋場面で終わるのですが、ソックリでした。

ちなみに『週刊文春』の映画評でも「幼稚・ちゃち・つまらない。大人の鑑賞に堪えない」と酷評されていました。聖書を知らない人には、何でいきなり復活するのか、息で生き返るのか等など分からないことばかりでしょう。まあ、この手のファンタジー物は私的にも苦手かな。私の年齢になりますと、人間の「実存的生(生きること)」を深く鋭く暴き出す作品(ex.山崎豊子作品)に惹かれるのですね。