安室の母の事件に思う -この世の栄光と引き換えに-


      ■人気歌手安室奈美恵の母親が義理の弟によって惨殺されると言うショッキングな事件が起きた。歌手復帰の新しいCD発表会の当日におきた悲劇だった。赤ちゃんも生まれ、復帰も成功し、まさに幸福の絶頂に起きた事件であった。それにしてもこの世にあって人気や栄華を極めたいわゆる有名人においては、しばしばこのような形で家族や自分が悲劇に巻き込まれるケースが洋の東西を問わず多いことも事実である。アメリカにおいてもマリリン・モンロー、ナタリー・ウッド、シャロン・テート、ウイリアム・ホールデン、ジョン・ベルーシなどのハリウッドの有名俳優や、ジャニス・ジョップリン、ジミー・ヘンドリックス、ジョン・レノンなどのロック歌手など、その悲劇的最後の例は枚挙に暇ない。

      ■そしてこれらのケースにおいては麻薬中毒患者とか、ストーカー的変質者やサイコパス(精神病質者)などが一枚噛んでいることも事実であり、最近流行のFBI開発の犯罪の心理捜査手法プロファイリングによってその精神病理的側面は明らかにされている。しかしながら霊的側面についてはまったく考慮されていないのが、私たちクリスチャンにとっては不満足の残る点である。これらの精神病理的事件あるいは猟奇的事件の背後には必ず何らかの霊的影響があるのであって、精神病理的側面はその表現に過ぎないのである。

      ■例えば今回の安室の母のケースにおいても、彼女の経営していたスナックの建物については以前より「おばけ屋敷」と言われており、そこを借りた人は必ず自殺したり、事故に遭って死んだりするといういわくつきの場所であったという。そのために賃料が安かったということである。そして安室の母は占いとかそのような迷信的な話しによって影響を受ける傾向が強かったという。わたしはこの事件の一報を受けた時、これは霊的な要素がある事件だと直感したが、いろいろな報道によってその確信を強めている。

      ■この世において人々の歓心を得、さらにはいわゆるスターダムに駆け登り、大衆の人気を得るためには、「この世の神」であるサタン(悪魔)の認知を得る必要が必ずあるのである。サタンはイエスに対してさえ、この世の栄華を見せて、それは自分にすべて任されているから、自分を礼拝すればそれらをすべてイエスに提供すると言って誘惑した。その際イエスは悪魔にすべてが任されていることについては何らコメントせず、ただ「聖書に、ただ神にのみ仕えよ、と書いてある」と言ってサタンの申し出を一蹴した。つまりはサタンがこの世の権力を持っていることはまぎれもない事実であり、この世にあって何らかの栄華を得るためには必ずこのサタンとの取り引きが必要になるのである。アメリカのヘビー・メタル系のロック歌手などは、もろに悪魔に対してこの世での成功を求め、自分を悪魔に捧げる者たちもいるほどである。ある種の統計によると、これらのヘビー・メタル系のアーティストの約6、7割は悪魔とそのような取り引きをしているとのことである。したがって、例えば最近アメリカで人気絶頂にあって、日本のビジュアル系アーティストにも影響を与えているヘビ・メタ歌手マリリン・マンソン(注)などに見られるように、露骨にステージで聖書を破いてみせたり、イエスやクリスチャンを罵倒し、涜神的行為をし、破壊的メッセージを撒き散らしている。

      (注)マリリン・モンローとシャロン・テート事件の主犯チャールズ・マンソンより命名する。謎の死を遂げたマリリン・モンローは悪魔教会のメンバーだったと言う噂がある。

      ■本当の神を知らない日本人はこれほど露骨な表現は少ないとは言え、もっと穏やかな形ではあっても、霊的には全く同様の事態が密かに起きている。いろいろな権威を否定するとか、援助交際などの性的逸脱、家庭内あるいは校内暴力、さらに高級官僚におけるモラルの低下など、これらの背後には必ずかの悪しき者の働きがある。この世の君に自分を明け渡して、社会的評価、人気、栄光、富みを得れば得るほど、それはサタンの手の中で翻弄されることを意味する。そしてサタンの本質は偽り者であり、破壊者、盗人、殺人者なのである。彼は神の形に造られた神の愛する人間を妬み、憎悪しているのである。よって彼は求める者にこの世の栄光を一時は経験させてくれるのであるが、それはいわば「サタンの栄光」であって、いったん自分の手に落ちてきた獲物は必ず滅ぼすのが彼の喜びなのである。日本でもっとも華やかな人気歌手である娘の絶頂時にあって、それと対照的な沖縄のひなびた村という霊的未開の地に暮らす母において起きた今回の事件も、その裏にこのような霊的な典型的要因が潜んでいると私には思えるのである。(1999.03.19)


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