Dr.Lukeの一言映画評と本日の一枚
- 2009/03/10 18:17
- Category: 日記
かつて2年間ほど共に時間を過ごさせていただいた横浜寿町のカナンキリスト教会の働きを紹介するDVDの英訳の依頼を受けて、姉妹のヘルプも得つつ、今作業に取り組んでいる。日本語・韓国語・中国語・英語のキャプションが付く。ミッション・ラザロのおっちゃんたちの証集もある、というかそれが中心だ。ここでは生きている人の足にウジが何百匹も巣食うといった事態が実際に起きているのだ。出来上がりはちょっと先になりますが(4月12日イースター目標)、楽しみにしていて下さい。
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本日の作品は名女優メルリ・ストリープと個性派の性格俳優フィリップ・シーモア・ホフマンの『ダウト-あるカトリックの学校で-』(→解説)。今、ニッポンキリスト教界もB師のセクハラ問題で揺れているが、アメリカのカトリックでもペドフィリア(小児性愛)事件がよく起きている。
ある神父に対してその疑惑を持ったストリープが演じる校長が、ホフマン演じる疑惑の神父を執拗に追求する。しかしこの女校長は元々潔癖かつ偏執性を帯びており、自身の病理を抱えている。過去に赦されざる罪の意識を残しているのだ。それがために自身もストイックかつ強迫性向を持つ。それは自分を赦せない、あるいは自分を信じることができないためだ。そこで人に対しても同じ物差しを持ってはかることになり、些細な振る舞いがすべて疑惑のネタとなる。かくして彼女の病的疑惑の目を向けられた神父は追い詰められ、最後は・・・。これ以上はネタバレになるので。
私的には単なる疑惑追及の作品ではないだろうと予想しており、何か意外な展開も期待したのだが、やや最後は・・・だったかな。しかし病理性を帯び、内的葛藤を抱えた女校長をストリープは実にリアルに演じていた。その相手を見据える視線はある瞬間は怖く、また別の時は不気味ですらある。対する追い詰められる神父役のホフマンも実にうまい。視線の揺らぎ、手の振るえ、充血する目、高潮する顔面。名優と性格俳優の一騎打ち的会話の応酬は緊迫感に満ちている。人間関係において疑惑をいだく場面は多々あるし、今日のように匿名を盾にしたネット社会はその疑惑が増幅される。現代はパラノイド社会なのだ。下手なスプラッター物よりもよほどホラーな作品だ。
先の『マンマ・ミーア』のある種軽薄なまでに明るい解放感のある役も、それとは対照的な人間の心の闇を演じるストリープの力量には脱帽する。彼女を初めて知ったのはやはり性格俳優のロバート・デ・ニーロ主演の『恋に落ちて』であるが、年々存在感と迫力が増している感じ。彼女の「疑惑を暴くためには、時に神からも遠ざかるわ」と言う台詞が実に怖い。ホフマンはこれまでは悪役や脇役的存在と思っていた。トム・クルーズの『MI:Ⅲ』の敵役が印象的だった。しかし確かに彼は「ワケあり」と言うか疑惑のオーラを醸していることは事実。
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本日の一枚は何とうれしいことに、桑田佳祐のカバーアルバム"Darling"。スウェーデンのLisa Lovbrandによる英語の桑田の名曲のカバー。「ダーリン」から始まって「恋するワンダ」、「風の歌を聴かせて」と。これらが英語でどう表現されるのか、かなり雰囲気は違って、マイルドかつ繊細な感じで仕上がっている。実に70年代後半が青春だったDr.Luke的にはかなりうれしい一枚。
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しかし、2月はまったりできましたが、3月に入ってから何かと忙しくなっております。今週もいろいろと。かくしてその3月ももう中盤。これで2009年もクオーターが終るわけで・・・。何と早い・・・汗。それにしてもザジテンALのおかげで花粉症はけっこう軽くしのげております。Saltさん、お薦めですよ^^
Salt
杉と檜とストレスに囲まれて暮らしてますので、けっこうキツイ日々です。お勧めの薬試してみます。
でも不思議と肝腎な場面では、いつも守られているので感謝です。