嗚呼、アスピリン
- 2010/05/24 20:31
- Category: 科学
- Tag: Jmol アスピリン
昨年、マイケルが死んだとき、「嗚呼、デメロール」なる記事を書いた。彼が鎮痛薬として飲んでいたドラッグだ。
今、私はジョッギングでβ-エンドルフィンを楽しむと共に、アスピリン(アセチルサリチル酸)にはまっている。すでにBC400年ごろに医聖ヒポクラテスがヤナギの樹脂を鎮痛薬として用いていたが、この成分がコレだった。バッファリンとして有名である。実はコレ、解熱や頭痛生理痛を抑えるだけでなく、何と血液をサラサラにする効能があるのだ。
ちょっと薬理作用を解説すると、食物の中の油脂としてアラキドン酸があるが、これをCOXと言う酵素がプロスタグランジンH2に変える。これから三つの経路によって、①プロスタサイクリン(PGI2)、②トロンボキサンA2(TXA2)、③プロスタグランジンE2(PGE2)に変える。PGI2は血液凝固を抑える働き、TXA2は血小板に働きかけて血液を凝固させ、PGE2は発熱作用がある。
●PGI2
●TXA2
●PGE2
で、アスピリンはCOXの働きを抑制するのだが、面白いことは用量によって三つの経路の抑制の仕方がビミョウに変わるのだ。つまり300mg程度では③の経路を抑制する。発熱や痛みがあるときは300mg程度を処方されるのはPGE2産生を抑えるから。ところが80mg程度を摂ると、今度は②の経路を抑制するのだ。これでTXA2産生が抑制されるため、血液凝固が抑えられる。かくして私のような高TGの人はアスピリンで血液をサラサラにすることができるわけ。ちなみに魚の油であるDHAやEPAでも同じ効能がある。
と言うわけで、低用量のアスピリンを飲むことは老化防止にもきわめて良いのだ。米国の臨床医はほとんどアスピリンを服用しているという話もあるほど。ただし用量を増やすと胃炎などを起こすので要注意。私は胃粘膜保護剤の入ったタイプの一粒を割って服用している。「嗚呼、デメロール」ならぬ「嗚呼、アスピリン」で血液サラサラになりましょう。いつもヨタ話ばかりですので、たまーにお役に立つトピも・・・。
●アスピリン
DJ Jerry
こんばん歯。僕はいわゆる頭痛持ちで、月に2回ぐらいはバッファリンを服用します。それだけでも、血液サラサラ効果はありますか?毎日2錠ずつぐらい飲んだほうがいいでしょうか?