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アクアラインの夕日を眺めつつ

本日は試験成績の配布を教員が狩り出されて行う日。午後3時間を、ある意味で無駄な時間として過ごす。その帰り道、いつもは湾岸高速を走るのであるが、今日みたいな日はちょっとふらつきたくなる。で、アクアラインを走ることにした。

千葉の側はなんと申しましょうか、遠くには木更津の工場地帯の煙突が何本も見えるが、その他は野原と畑と田んぼ。ほとんど手付かず。アクアラインは、それでも多少は安くなったが、ほとんど車が走っていない。15分ほどで川崎へ抜けるといきなりビル郡が立ち並び、渋滞にひっかかる。結局、湾岸を走るのと時間的には大差がないわけ。

何とも空虚なものを造ったものだ。いや、これの存在価値はあるのだが、走行料金が高過ぎる。運営法が悪い。そのため通行量は増えず、千葉は相変わらず寂れたまま。無計画な金の使い方である。では、<公共投資=悪>なのか。

『文藝春秋』3月で小泉氏の経済政策が誤りであること、実は増税の必要はないことが論じられていた。国の借金(粗債務)は795兆あるが(GDPの150%以上)、実はこれは貸借対照表の右側(貸方)の話。左側(借方)の金融資産状況を見ると、480兆ある。よって、純債務は315兆。これはGDPの60%。しかもこの債務は対外債務ではなく、国民への債務。サラ金から借りたのではなく、ダンナが奥さんのヘソクリを借りたようなもの。対外的には日本は債権国なのだ。

で、このGDPは<消費+投資>であり、したがって景気を良くするには消費か投資を増やすべきなのだが、小泉氏は緊縮財政を取っているというわけ。亀井氏や古賀氏たちが利権がらみでいかにも公共投資で悪いことをしているかのような印象を植え付けられて、<公共投資=悪>との刷り込みがなされているが、実は経済学から言えば、どんどん国は金を使うべきなのだ。これはクリントン政権が実際に行って、米国の双子の赤字であった財政を黒転させたことでも分かる。もし橋本氏が緊縮策を取らず、当時のまま内需を拡大すれば、現在のGDPは600兆、税収も60兆を超えたと推測されるとのこと。

最近はバブルの傾向が出ているとのことであるが、実はもっと金を使う必要があるのだ。ビールと同じで泡がなければおいしくないのだ。ケインズ経済学は死んだといわれて久しいが、<GDP=消費+投資>である以上、現在もケインズは生きている。

ここでマスコミの刷り込みに注意する必要がある。かつて<バブル=悪>として土地・株を冷やした結果が90年代の不況、そして戦後初めてのデフレ。同じように<公共投資=悪>として緊縮財政を取って、首を絞められるのはわれわれ庶民なのだ。私たちが金を使わなければ、ますます不景気となり、ますます税収が落ち、ますます増税を要求されるわけ。

経済は気分で動かずに、理屈で動く必要がある。それともっとも問題なのは持たざる者たちの持つ者への妬みと嫉妬である。これで均して、みんなで貧乏人、これが共産国家。前の藤原氏の市場原理主義の愚かさとオレードオフの関係にある。どこかに均衡点を見つける必要がある。

・・・といったことを東京湾の夕日を眺めながらつらつらと考えた。