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Dr.Lukeの一言映画評

午前中はプールとサウナ。午後はまたまた食事と映画。日ごろのダイエットで餓えているため、シャブシャブの食べ放題で満足感を味わう。

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アップロードファイル 19KB不撓不屈』−TKC全国会の創設者にして税理士・会計士の飯塚毅氏の実話。権力はないが懸命に慎ましく生きる庶民の零細中小企業の味方として、節税策を講じていた主人公が、国税当局から脱税容疑で告発され、部下4名が逮捕される。世間から冷たい視線を浴びて、顧客も次々に離れる中で、自分は正しいことをしているとの信念に基づいて、国家権力と7年に渡り戦う。事件の背後にエリート役人の私怨があることが分かり、国税局長官の不正を社会党が暴き、全面勝利に終わる。孤立する彼を支えたのは家族の献身的な愛であった・・・と。

う〜ん、やや感傷に流れて作りが粗雑だ。国会追求の駆け引きなど、もっとドキュメンタリータッチが欲しかった。例えば、彼が指南した「別段賞与」。ちょっと調べたが「従業員の賞与を未払金のまま損金に計上して会社が従業員から借入れる形をとり、運転資金として運用し資金事情の良い時期において、社員たちへ支給を実施するという方法」とあった。仕分けはどうなるのか考えてみた:

・計上時          ・清算時

 借方    貸方     借方      貸方
-----------------   --------------------
 賞与   未払い金   未払い金    現金

↑コレでいいのかな?いわゆる「賞与引当金」と同じようなものらしいが。私も『元国税局Gメンが指南する節税と脱税の見分け方』なんて本が書棚にありますので、けっこう関心があるわけです^^

事件の構図もキャリア官僚の私怨であり、国税局が完全に悪役。今の福井さんみたい。対して主人公が禅にはまっているのはいいとしても、あまりにもキレイすぎ。善良な庶民の涙の物語もはさまる。まあ、山篭りしつつ木彫りの仏像を彫る滝田栄が演じていたので、違和感はあまりなかったが。献身的妻役の松坂慶子がいつもながらの大根振り。この人は何をやっても同じだ。かつての『愛の水中花』の網タイツスタイルから比べるとオバサンになったなあと、時の残酷さを想う。これは社会党も同じ。

かなり入っていたが、面白かったのは客層がそれ風のオジサン/オバチャンばかり。あちこちですすり泣きの声がしていたが、みんな国税局にはいじめられているだろうか?