個別表示

最悪の結末

女子高専生殺害事件は加害少年の自殺で終わった。私は8月30日に「保護する必要がある」とし、あえて「逮捕」とは書かなかった。ここでも少年犯罪と言うことで、加害少年の情報が警察から一切流されなかったが、今日の『週刊新潮』では彼の写真と実名が出ている。しかし遅かった。

「少年犯罪」の言霊に束縛され、警察は情報公開などに及び腰となり、その結果社会が被るリスクを高めている。今回は逆に初動操作が後手に回り、保護することができなかった。この少年はネットからかなりマニアックなポルノ系やスプラッター系のビデオを入手していたらしい。遺体に対して凌辱行為をしていたとのこと。おそらくサディズム傾向を有していたのであろうが、同時に知性も高く、自省心もある少年だったようだ。これでかえって自殺という結末に至ったのだろう。以前の町田の少年とはここがやや違う点である。・・・が、これで真実が葬られ、両家族の無念さと虚しさだけが残った。

フロイトは晩年、人間性に絶望していた節があり、人間存在の本質をエロスとタナトス(死の願望)とした。自己破壊的な人間の闇に直面せざるを得なかったのだ。かくしてこの少年もサディズム傾向を抑制できず、同時に自省するキャパはあるために、その葛藤が自己を抹殺する形へと行かざるを得なかったのだろう。

何ともやりきれない後味の悪い事件であったが、ここでも昨日書いたように、少年の「人権」を守ろうとして、今回は(社会の被害ではなく)少年の命を失わしめた。社会から「人権」という城壁でソフト的に彼を隔離し、ハード的に彼の居場所を喪失せしめたのである。「人権」というミームを持つマインドウイルスのなせるわざである。あまりにも硬直化した「少年犯罪」の言霊から解かれ、対応をもっと具体的に考え直すべき時期なのではないか?