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羅生門現象

TIME誌と文藝春秋誌においてちょうど同じ本の映画化についての記事が出ていた。その本とはアイリス・チャン女史の"The Rape of Nanking"(ザ・レイプ・オブ・南京)。この映画化の話は何度も出ていたが、今回はAOLの副会長テッド・レオンシス氏が名乗りを上げ、製作は確実のようだ。

南京事件では30万の民衆が日本兵によって虐殺され、数万の女子がレイプされたことになっている。TIME誌においてはそれは明確な客観的証拠のある事実であるとし、文藝春秋誌では数々の事実誤認があると主張。しかも今回の映画化をバックアップする団体ALPHA,RNRC,APTSJWなどが中国当局と一体に近い「世界抗日戦争史実維護連合会」に連なると言う。つまりハリウッドの映画であるにもかかわらず、中国のプロパガンダが垣間見えるわけ。

一方のTIME誌ではこの映画化に対抗して、サテライトテレビの経営者でもSatoru Mizushima氏が"南京の真実"と言う映画を撮るらしい。すでにそのための資金も250万ドルほど確保したとのこと。Mizushima氏もレオンシス氏の映画には中国によるセットアップがあることを指摘している。

真実はひとつなのだが、かのように証言と主張が異なる。それにしても30万人の虐殺とは一体どんな光景になるのだろうか?まさに黒澤の『羅生門』の世界を地で行っている。下に紹介した本によると安倍さんもどこからか強力な圧力を受けて自身の歴史観を譲ったらしいが、しばしば真実を語ることには常にリスクが伴う。ちなみにアイリス・チャン女史は情緒不安定の要素が見られたようだが、2004年自殺。享年36歳。

自然科学と異なり、歴史では実験が再現されないのだ。一回限りの真実。これをどのようなフィルターを通して見るかによって、まったく違った世界が構築されてしまう。桜井よしこ氏らにも踏ん張ってもらわないと、日本の立場はますますなくって行く。ちなみにドイツでは600万のユダヤ人ホロコーストに異議を唱えるだけで逮捕・処罰されるのだ!もっともコワイのはある価値観と評価だけを強制され、モノが自由に言えなくなることだ。

南京事件資料集 ここの資料とリンクは完備している。