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Dr.Lukeの一言映画評

アップロードファイル 2KB午前はいつもどおりプールとサウナ。午後は映画。『クイーン』−1977年8月31日、パリでダイアナが事故死する。その悲劇的死により世界中が一種のヒステリー状態に陥るが、その死に際して、たった独り涙を見せなかった女性がいた。エリザベス女王。父親の不慮の死により50年間女王を演じてきた女王とダイアナの価値観の相違は明らか。かくして女王から見ればダイアナは自由奔放過ぎたのだ。その確執が宮殿の陰謀説なども生むが、確かにその説を生み出すだけの因縁はあった。

女王はバッキンガム宮殿を離れ、バルモラル城に篭り、世間に対して一切のアクションを起さない。このことがますます世論をして女王批判をかきたて、1/4の国民が王室廃止を訴える。しかし新任の若いブレアが女王を説得し、ついに女王は国民の前に姿を見せ、追悼の辞を述べる。この1週間の女王の微妙な心理を描写する。

バルモラル城に篭りつつ、女王は自らドライブに出て、車が故障する。自らドライブして警護なしに出かけるのもビックリだが、彼女がやたらと車に詳しいことも意外。戦争中は車の修理をしていたらしい!?そこで何ゆえかの涙を流すが、ふと見ると品格のある雄鹿の姿が。女王はそれに感動し、ハンターから逃がす。が、数日後その雄鹿は殺される。わざわざその死骸の納められている場に自ら運転して出向く女王。その死骸を見て、深く憐れむ。

多分、この悠然たる雄鹿に自らを投影していたのであろう。女王は自らを退けて、まず国民のために奉仕することをすべてとしてきた女王。しかしダイアナに裏切られ、また国民に裏切られようとしている。ダイアナの死に対して冷静であるのに、雄鹿の死を痛む女王の心がやや怖いが、彼女の生き方がその倒錯を生んだのだろう。が、ついにブレアの進言に従い、国民とかろうじて和解を果たす。

ヘレン・ミレンが人間女王の孤独を実に見事に演じている。役者がそれぞれ実在の人物を彷彿とするのが、何かモノマネ合戦を見ているような可笑しさを覚え、これで救われる。また当初は微妙な緊張関係にあったブレアが、最後には50年間女王を演じてきた彼女を擁護し、結局は女王の威厳を守っている作品だった。日本の皇室では、例えば日本のダイアナ的存在である雅子様と皇后の確執や、彼女の孤独と葛藤など、こうは描けないであろう。ややシニカルが好きな人にはお薦め。

Commented by Luke 2007年04月21日(土)21:48

ちょっとヘレン・ミレンを調べてみました(→http://www.helenmirren.com/universe.html)。このおばちゃん、実に艶があって、セクシーですね。ファンになりそう。これが本当の役者なんでしょう。日本にはいません。

女王の役では、本人のことばを分析し、そこから心理を読み取って役に入っていったようです。プロファイリングができないと本当の役者はできないのです。田村正和と木村拓哉、ヘレンから勉強しなさい。