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竹内均先生逝く

東大名誉教授で、地球物理学者、Newton編集長、さらに代々木ゼミナール校長の竹内先生が84歳で逝かれました。思えば高校時代に、「ラジオ講座」や「傾向と対策」でお世話になりました。田舎で情報がほとんどない中、この「ラ講」が唯一の頼みの綱でした。わが青春のひとコマです。

先生は独特の語り口と分かり易さが定評でした。若い頃に地球物理学のノーベル賞と言われるラグランジュ賞を取られ、また小松左京の「日本沈没」にも自分役で登場されるなど、とてもユニークな方でした。

その後私も東大に入り、東大教官の著作目録があるのですが、それを見て驚きました。竹内先生の著作はほとんどが受験参考書!いやあ、これは変わった東大教授だぞと思ったことがあります。

実際先生ご自身、若い頃は専門分野での業績をあげ、教授になったら弟子を育てつつ論文よりは本を書き、退官したら啓蒙雑誌を作り、最後は幼稚園の園長さんで終わりたいと語っておられました。実に勤勉な誠実な人柄の方でした。

懐かしいですね、わが受験生時代。「ラ講」には、一方で東北大学の勝浦捨造先生がおられました(その後退職し代々木ゼミナールに移られた)。数学の先生ですが、浪花節調で、おおいに励まされたものです。しわがれ声で「三高寮歌」を熱唱していました。この先生も何年も前に亡くなっています。英語では早稲田の西尾孝ですね。この先生も故人です。その他駿台系では、伊藤和夫、鈴木長十両先生にもお世話になりました。伊藤先生とはその後駿台講師になってからご一緒したこともありますが、みなさん故人です。

この前の長さんもそうですが、私の人生のひとコマひとコマを共有された方が次々に亡くなっていくのは少々寂しいことです。ちなみに私の大学の同級生も一昨日大腸ガンで亡くなりました。そんな世代に入ったと言うことでしょうか。人生は文字通り、「サドン・デス・ゲーム」です。

ご冥福を祈ります。