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ある学生の物語

試験成績が学生に交付された。いつものことながら、7名ほどの学生が、試験を受けたのに「欠」扱いになっている、とクレームを入れてくる。私の記入漏れも一部あるが、たいていはマークシートの記入ミス。

そこで学生を研究室に呼び、20cmほどの厚みのシートの束から自分で自分の答案をピックアップさせる。そして本人のミスを厳しく指摘して、お情けでやってやるんだぞ、といった雰囲気を醸しながら、自己採点させる。これで落ちているヤツは丁重にお引取りいただき、受かっている者は一応訂正をする。

で、本日、質問表において「自分は出席もし、試験も絶対受けているのに欠になっているが、どういうことであるか、これについてキチンと説明をしてもらいたい。」とやけに突っかかる文面の者がいた。本人を招いてシートの束を見せると本人の顔が一瞬引きつった。

自分で探し出せと指示して見ていると、のたりのたりとシートをめくっている。おかしいなと感じたが、ピッチを上げさせて、10分ほどかかって全部を見て彼が一言、「先生、これだけっすか?」。私:「そうだけど、ないの?」。「ないっす」。「試験受けたんだろ?」と私が問い詰めると、「ええっと、俺、マークシートの試験なんて受けた記憶がない・・・」と消え入りそうにボソボソ。私は内心で、「ははあ〜ん。これで読めた。」

お分かりですね、彼の魂胆が。因縁つけて単位をせしめようと言うわけ。こういった強弁をする場合は何か自分のやましさの裏返し。これはブッシュも同じであるが、こういった場合は態度もおかしい。しかし自分のシートは絶対ないと分かっているのに、黙々とシートめくりをした(要するにヤバイよと思いつつも、逃げるに逃げられずもそもそと演技をしたわけ)彼の心境を推測して、内心おかしくて、腹も立ちませんでしたね。おかしさをグッとこらえて、彼の目を見つめつつ、「いいか?納得したか?」と言うと、「いいです・・・」とそそくさと去りました。

きょうび、この手の人種が増えているのです。ちなみにNEET(働かない若者)がついに52万人。さてさて、ニッポンの未来は明るいでしょうか、暗いでしょうか?みなさん、どのようにマークします?