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共同幻想社会からの脱皮

ケリー側は早々に名誉ある撤退を宣言。ブッシュの勝ちです。しかし本当にブッシュは勝ったのでしょうか?私が今思い浮かぶ御言葉は「高ぶりは滅びに先立つ」なんですね。

むしろアメリカの分裂が証明されました。これをまとめるには外部に敵を作ることです。イエスをめぐってヘロデとピラトが仲良くなったようなものです。共同幻想としての敵−おそらくブッシュはますます追い詰めるでしょう。ちなにみ投票直前にビン・ラディンのビデオが公開されたのも何とも"グッドタイミング"と感じるのですが・・・。私の思い過ごしでしょうか?

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ドラマ『黒皮の手帖』がおもしろい。社会派松本清張の小説のドラマ化で、かつては山本富士子が主演したと思うが、『砂の器』などと共に清張の暗い世界観をよく描いている。漫画でも手塚治虫の『アドルフに告ぐ』とか、『陽だまりの木』などはほとんど文学作品とも言えるが、ある面で彼らは似ている。徹底的に人間の暗さを暴く手法。

対して、『親分は・・・』などのクリ系の映画が底の浅いものとなる理由は、この人間の真実を直視していないため。私も企画段階から関係して、途中までは関わったが、ある時点で見切ってしまった。夫婦愛だ、赦しだ、自己犠牲だの、ヒューマニズムに流れてしまう甘さがある。だからつまらない。『ベン・ハー』のようになれば、それはそれで大作であるが、そこまでの力量はない。

ただ、晩年の手塚が『漫画:聖書物語』を書いたのはよいが、残念だが浅いものだった。聖書は徹底的に人の暗さを暴いている。ニッポンも一度徹底的にその暗さの中に落ちる必要があろう。暗ければ暗いほど、イエスの光が輝く。

今の自称使徒だ、預言者だの"油注ぎの器"による"リバイバル"などはまったくフェイクである。ニッポンキリスト教界の共同幻想としての"リバイバル"などはまず壊されるべきだと、私は思っている。むしろ必要なのは、真実を直視すること。悲惨さにうめくこと・・・。