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怨念の政治

小泉氏の支持率61%、内閣の支持率46%だそうだ。ポピュリズム嗜好を刺激された大衆は、迫力ある(というか、鬼気迫る)パフォーマンスに実に弱い。反対勢力は「造反組」とレッテルを貼られ(何となく中国の文革や北朝鮮を連想させるが・・・)、すっかり悪者扱い。いわゆる勧善懲悪ドラマと同じ構成。このあたりはブッシュと共通する。対するオッボチャマ民主党は小泉氏の迫力に押され、どうもその存在自体が薄い。

あの目つきはどうもフツウではないと感じていたら、午前の番組で小泉氏のルーツがあの「角福抗争」に由来していることを解説していた。要するに中曽根氏の"裏切り"で福田氏が角さんに負けた因縁の一件。小泉氏は福田氏を抱いて号泣したそうだ。前の中曽根氏に対する態度も、対する今回の参議院の中曽根Jr.の動きもなるほど、その因縁と分かる。「派閥をぶっ壊す」はここにある。また小泉氏が郵政大臣だった時に官僚から受けた仕打ちに対する因縁も篭る。

衆議院を当て付け的に解散し、造反組をあくまでも冷遇する小泉氏のやり方は確かにdue processかも知れないが、コワイものを感じさせる。怨念はコワイ。私なども意図せざるして人の恨みを買う経験があるが、その憎悪をぶつけられ、その心の闇の病理を目の当たりにすると、実にぞっとするほどに怖さを覚える。これがクリスチャンと称する人であるならば、いわんや小泉氏をや、である。

これまでの派閥政治を壊すはよし。が、その動機とエネルギーの源が憎悪と因縁にあるならば、これは将来に禍根を残す。これはブッシュとフセインの因縁によるイラク問題も同じ。どこに落とし所を想定しているのか?

今年の夏は確かに暑いが、クーラーが要らなくなるほどに寒々したものを覚えているのは私だけであろうか。